一等無人航空機操縦士の実地講習を実施いたしました。
(前回の実施は8月27日となります)
さて、今回の実地項目は『緊急着陸を伴う8の字飛行の飛行経路』となります。

前回に引き続きATTIモードでの飛行になります。GPSと障害感知機能が切られているため気象の影響を大きく受けながらの飛行となります。操縦者は不安定な姿勢を強制される形で、ドローンを8の字軌道に飛ばす技術を試される訳です。

(風速計による気象条件の確認。この時の天気は晴れ、風速は平均1m/sの最大瞬間4m/s。緩やかではあるが気は抜けないステータスだった)
この際、重要となるのは当て舵です。
8の字飛行では常に尾翼(ラダー)を入れて推進します。前進(ピッチ)だけでなく旋回(ヨー)の動きも求められる訳です。
そうなると両手はどちらもそれぞれ一つの操作に集中する事になります。右腕は前進、左手は旋回――人間なかなか集中していると別の操作に気が向かないものです。しかしATTIモードの一等無人航空機講習ではその別の操作を急に要求されます。
それが当て舵――進行を入力した時に機体に起こる慣性力や突発的な風力に対し、逆の進行を入力する事でベクトルを打ち消し合う操作です。
この操作を失敗すると、軌道を大きく外れる事になります。入力が弱すぎれば風に流され、強すぎれば慣性に流されます。

(操作中大きく機体が傾く様子。後ろのサッカーコートと比べると傾きは一目である)
室外でのATTIモードは大変な集中力と精密な操作を要求します。しかしあえて申し上げるならば、これが室外コートの醍醐味でもあります。
室内コートで人口の風を起こす方法も、デジタルデバイスでシミュレーションする方法も、他企業の講習にはあります。しかしそこにはどうしても人の作った規則正しさが介入します。
我々といたしましては是非とも講習はこうした室外コートで受けて欲しいと考えております。

さらに8の字飛行には異常時の緊急着陸もあります。
これはただでさえ不安定な8の字飛行の途中で、講師の合図と共に急停止し、目当てのランディングパッドまで最短ルートを探す試験となります。
今進もうとしている航路に逆らう形になるのですから、安定には咄嗟の判断が試されます。

(ATTIモードでの着陸。機体の不安定さを傾きが示す)
全体的に厳しい操作が続きます。結果として講習時間配分はこの8の字飛行が一番多く取る事になりました。
前編のスクエア飛行・ピルエッドホバリングに続き、中編は8の字飛行をご紹介しました。
次は後編、いよいよ試験となります。
前編から大分時間が経ってしまいました。スケジュールは基本的にお客様と相談しお決めになるのですが、その中でお客様の都合と弊社の都合がマッチングする条件を探すと、このように実施が先延ばしになる事もあります。
我々といたしましては日々忙しい中隙間を縫って講習を受けに来て下さるお客様のために少しでも糧になるプログラムを組めるよう、日々精進していく所存です。
それでもまだまだ未熟な身です。講習を受けた方も、これから受けてみようかなと思っている方も、何かあれば気軽にお問い合わせください。